NHLの試合はどのスタジアムも満員です。
日頃Jリーグの試合をよく観る私としては
6〜9万人の観客で埋まるスタジアムの光景はまるで夢のような別世界。
…いや、本当に別の世界なんですけど。

NFLはホームチームが非常に有利なスポーツです。
よくよく観ていると、何故かホームチームの攻撃よりも
敵チームが攻撃している時の方が歓声が大きいことに気づきます。
アナウンサーが「凄まじいクラウドノイズです」と言う時がそれ。
つまりこれは「歓声=応援」ではなく「ノイズ=騒音」なのです。
頭脳戦の項目で述べたように、攻撃は戦術の伝達が必須です。
ヘッドコーチからQBへ、QBから他選手へ…それを邪魔するために
観客は声を張り上げ壁を叩き、まさに割れんばかりの大音響を響かせます。
ロックコンサート以上のノイズは当たり前。
観客の中にはロックコンサート以上のコスプレしている連中も多いしね。
いいトシこいたおっさんがレプリカユニフォームに身をつつみ
顔面をチームカラーで塗りたくり、素っ頓狂な帽子を被って
でっかい「D」のパネルと柵を持って叫んでいたりします。
(「D」と「柵(フェンス)」でディフェンス…)
守備側すなわちホームチームの選手も両手を横に広げて大きくあおり、
さらに観客のノイズを誘います。
実際、クラウドノイズが原因で戦術をミスったり
フォルス・スタート等のファールをとられることも少なくないので
アウェイはそれだけ不利というわけです。

ところがこの観客たちもよほど試合が緊迫していない限り
試合終了を待たずに帰り始めます。
意外にクールです。
酷い時は3階席2階席はもちろん、いわば「がぶりつき」の1階席までガラガラ。
試合開始直後と終了間際のスタジアム風景を比較するも一興。
まー6〜9万人の人間が1ヶ所に集結するということは
行きも帰りも大渋滞は必須なわけで、気持ちはわからないでもない。
(スタジアム全体の空撮映像を見れば、その周囲は広大な駐車場だったりする)
フィールドの選手たちも勝敗が決定的となるとプレイを流したりします。
アメフトは肉体的にかなりハードなので無駄な怪我を避けるためにも
「例え負けでも最後まで死力を尽くす」ということはしません。
ある意味プロとして成熟したプレイスタイルと言えるかも。

テレビ観戦の場合もスタジアムの観客同様に
試合の流れが決まった時点でチャンネルを替えてもいいんですが
「20-3、第4クォーター残り8分」から見事に逆転することもままありますし
そうした劇的な展開はなくとも
雄叫びをあげていた巨漢どもが虚ろな表情でベンチに座り込んでいる様子には
意外に心惹かれてしまうので私は最後まで観ます。
カタルシス!…これもNFLの醍醐味。

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