アメフトのルール説明ではよく「4回の攻撃で10ヤード進む」とあります。
間違ってはいませんが、素人への説明としては正しくないと思います。
麻雀でいうなら「テンパイしたらリーチをかける」と説明するようなものです。
…麻雀に例えるとよけいにわからないかもしれませんけど。
要するにテンパイする度にいちいちリーチをかけるのはタコだし
4回攻撃権があるからといって素直に4回ともQBが登場して
パスやランを繰り出すということは実戦ではあまりないわけです。
サードダウンが終わって「最後の攻撃で10ヤード行けるかな」とワクワクしていると
QBや攻撃担当選手がフィールドから去ってしまい「あれ?」となります。
よって「通常、攻撃は3回まで」と考えたほうがわかりやすいです。
では、3回で10ヤード獲得できなければどうするか。
この場合、試合状況によって4回目の攻撃は変わってきます。
3回目の攻撃が終了した時点で
ボールがまだ自陣にある場合 | パント |
アメフトでは、プレイはその直前のプレイ終了時に ボールのある位置から始まります。
例えば自陣30ヤード付近で4回目にランやパス等の普通の攻撃をして
万が一失敗したら自動的に相手に攻撃権が移行しますが
その位置(自陣内)から攻撃されることになります。
いきなり「エンドゾーンまで30ヤード」という危機的状況に陥るわけです。
これはまずい。
「フォースダウン&1」(3回攻撃終了残り1ヤード)という状況でも
「あとたったの1ヤードだし、もしかしたら4回目は行けるカモ?」
なんてたわけたことは言ってられません。
一般的には3回でできなかったら4回目も無理、と固く考えます。
残りヤード数が1ヤードでも、敢えて危険を犯す必要なしとなれば
4回目の攻撃は「次の相手の攻撃をできるだけ不利にする」を目的に
ボールを思いきりキックして相手陣内の深い位置まで放り込みます。
相手の攻撃を、相手陣内からスタートさせることができるわけです。
これがパント(パントキック)です。
フィールドではQBや他選手たちがぞろぞろと去ってしまい、
代わりにパント専門のパンターが登場します。
パンターは基本的に「ボールを蹴るだけ」なので
他選手よりも装備プロテクタも少なく、華奢な印象です。
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敵陣内だがまだ浅い位置にある場合 | フィールドゴール |
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なんとか相手陣に入りはしたが、タッチダウンするにはまだまだ遠い…
となるとよほど切羽詰った状況でない限りは無理にタッチダウンを目指さず
確実に点がとれる方法を選びます。フィールドゴールです。
大体相手陣40〜20ヤード付近(フィールドゴールレンジ)で行なわれます。
実際のプレイとしては、タッチダウンはいわば最終目的であり
とりあえずの目標としてこのフィールドゴールを目指すことも多いです。
ホームランは無理だけど2、3塁には走者がいるとなれば
「フライでもいいから長打で得点を」と考えるのに似てるかもしれない。
なので「これでフィールドゴールレンジには入りましたね、輿さん」と
いうような実況もありがちです。(輿さんは解説者名前)
パントと同じくQBはフィールドから出てしまいます。
ボールを蹴るのはキッカーという「蹴る専門」選手で
パンターも兼ねている場合もあり。
たったの3点ですが、これが後々効いたりします。侮るなかれ。
ただし時々キッカーがミスキックして外したりします…油断するなかれ。
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敵陣エンドゾーン目前にある場合 | フォースダウン・ギャンブル |
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3回目の攻撃を終了して、エンドゾーンまであと1ヤード、2ヤードとなれば
さすがにフィールドゴールの3点よりはタッチダウンの7点が欲しくなります。
そこで初めて4回目の攻撃、フォースダウン・ギャンブルを仕掛けます。
「ギャンブル」と銘打つほどに4回目の攻撃は珍しいことなのです。
攻撃のほとんどはパントやフィールドゴール(或いはタッチダウン)で
終わるので、サードダウンが終わってもQBがフィールド内にいれば
「おや、QBが残ってますね。ここはギャンブルのようです」
というような実況がたまにあったりします。
万が一失敗したとしても、次の相手の攻撃はボールがある位置
すなわち相手エンドゾーンぎりぎりという厳しい位置から始まるわけで、
「ギャンブルに負けても損はしない」です。
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点差が開き、残り時間も少ない場合 | フォースダウン・ギャンブル |
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第4クォーター残り時間5分、点差も3点以上開いているという試合だと
負けている方は悠長にパントやフィールドゴールを 狙っている場合じゃないです。
「通常」ではなく「非常」事態ですから、こうなるとボールがどこにあろうと
4回目の攻撃すなわち「ギャンブル」になります。
とにかく相手に攻撃権を渡さないように
何が何でも10ヤードを更新していくしかありません。
どうせすでに負けてる試合です。
いっそギャンブルで一発逆転の可能性に賭けたほうがマシです。。
自陣だろうとフィールドゴールレンジだろうとギャンブルギャンブル。
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※ごく稀にパントやフィールドゴールと見せかけて
フォースダウン・ギャンブルを仕掛ける場合もあります。
意外性のある戦術ですが、成功するかどうかは別問題。
NFLは奥深い。
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